思い出
皆さん、今朝のお目覚めは如何ですか?悩んでいること、困っていることはありませんか??すっかり、春らしく暖かくなってきましたね。
さて、今日は、ある下町の小さな昭和時代の建物のまま、ぽつんと建つ診療所のお話です。院長先生は、この町の住民の健康を守る赤髭先生です。2代目である院長先生の子供時代を町の高齢患者達は知っています。
患者は、ほとんどが、公害による喘息を発症しており、ほぼ、毎日のように通院してきて気管支拡張剤の点滴を受けにやってきます。 運動制限があり、通院以外の外出は困難であり、待合室は、この町の患者にとって「憩いの場」。
喘息発作を起こした連絡が入ると、赤髭先生は、診療の手をと めて患者の家に走って行きます。この町の患者は、みんな、赤髭先生に命を助けられた経験が、一度や二度はあります。私が知る限り、この町は、赤髭先生の病 棟と感じていました。
ある日のことです。もう、いよいよ、寿命が最終を迎えようとするおばあちゃんがいました。この町は、まだ、嫁が家族揃って自宅で姑を看取る風習がありま す。一日、何度も赤髭先生、婦長、看護師が患者宅に出向きます。もう、天に召されるまで、あとわずかな時を迎えました。
貧血も進み、朦朧とするおばあちゃ んに、赤髭先生は、ご自身の血を400mlばかり抜いて、おばあちゃんに輸血したのです! おばあちゃんは、家族、長年通った診療所のスタッフに見守られる中、
「龍ちゃん、(赤髭先生を子供の頃から知るため、端々に龍ちゃんと呼ぶ場面がある)ありがとうね・・・」
最後にそう言って、おばあちゃんは天に召されました。 一方では、糖尿病で血糖コントロールがうまくいかず、生活状況に問題ありのおじいちゃんは、今日も検査結果を見ては赤髭先生に説教をされています。診察室を出るとき、そのおじいちゃんは、
「やい!龍太郎!わしは、お前のこ~んな小さい頃からを知ってるんだぞ!あんなに可愛かったのに、やい、こら!!」
ちょっとちょっと・・・、気持ちはわからないではありませんが(笑)
もう、毎日、漫画が描けそうなおもしろい出来事が起こることも事実。地域医療が大好きな私は、何を隠そう、この赤髭先生に看護師1年目から育てられたのです。それも、私が生まれ育ったこの町で・・・。
私にとっての、医療の原点は、ここにあるのかもしれません。 人間っていいなあと思う、そんな人生のひとコマ、私の宝物です!!
これは、医療の仕事に従事する者ならみんな体験があると思います。この仕事の醍醐味ですよね!! さあ、今週も良い1週間でありますように!